未来を紡ぐひと -植木農園 植木 淑恵-

果樹の苗木屋を営む実家で農業に携わりながら、果物の摘果や収穫イベント・美味しい食べ方のレクチャー・利きりんごなど、ユニークな活動を行っている植木さん。地域と農業に対する想いや描いている未来について伺った。

広大なりんご畑は遠くに山が見渡せる、最高に気持ちの良い場所


ー普段のお仕事はどんなことをされていますか?


植木:実家の「植木農園」で果樹(りんご・もも・ぶどうなど)約180品種の苗木生産・販売をしています。今時期(取材当時は4月末)は春の販売がひと段落ついたところです。


ーいろいろとユニークな取り組みをされていますね。その原動力は何でしょう?


植木:全国でも指折りと信じている地元のくだものの美味しさを広めたい、という気持ちが一番にあります。須坂は傾斜地で水はけが良く、降水量が少ない(=日照時間が長い)のでおいしい果物ができる環境。冬の寒さは厳しいけれど、凍害対策をすれば耐えられるレベルなのでさくらんぼ・りんご・なし・もも・ぶどう・プルーンなど多種多様な果樹が栽培できる。こんな土地は全国的にみてもなかなかないんですよね。さらに、研究機関である農業試験場、教育機関の長野県農業大学校(果樹実科・研究科)まで揃っているのは本当に恵まれていると思う。須坂のひとにも誇りに思ってほしいです!

初夏から秋にかけて収穫の時期を迎える色とりどりのフルーツ



ー農業の魅力は何だと思いますか?


植木:りんご畑の風景やりんごの木漏れ日が好き。植物の生命力には日々感動させられます。繁忙期は休みが少なくて大変だけど、対人ストレスはほとんどないですね(笑)


ー植木さんが考える未来の農業とは?


植木:農家さんの高齢化・後継者不足は深刻で、既に平均年齢は65歳を超えています。これからは新規就農者や農業関係人口を増やしつつ、消費者とコミュニケーションをとって裾野を広げていくことが重要。力のある産地だからこそ、今の時代に合った農業のカタチを模索していきたいですし、1人で取り組むより価値観の合う人と一緒に組んだ方が相乗効果が期待できると思います。

りんごの苗木は品種ごとにテープで色分けされ、お花畑のよう



◎農業一本で生活するのはハードルが高いと思いがちだけれど、関係人口を増やすのは一つポイントかもしれない。農業を身近に、面白くする植木さんの取組みが実を結び、持続可能な農業のカタチができあがっていくことを期待しています!