お届けしたいのはおいしい思い出

100年を超えて愛される和菓子屋さん



創業時から「泣く子も黙るほどのおいしさ」と称される名物・コモリだんご



朝生菓子をかたくなに守る


 コモリ餅店は創業大正八年(1919年)、初代は古森藤之助氏。その長女が島田さんと結婚し、島田姓になって東京の墨田区で商売をしていたが、戦争で焼け出され須坂に戻り、二代目となった。現店主の島田さんは四代目だ。

店主の島田さん



 創業当時より朝生菓子を基本とし、だんごや季節菓子(桜餅や柏餅など)を作り続けてきた。朝生菓子とは、当日朝に作り、その日限りの命で新鮮さが売りのお菓子のこと。人気商品のおやきは長野県のソウルフードとも言える存在だが、意外なことに店で販売されるようになったのは60年ほど前からだとか。おやきは元々家庭で作って食べるもので、店で買う習慣は無かったのだ。しかも当初はお盆時期の限定商品。だんだん家庭でおやきを作る習慣が薄れて行くにつれ、一年中店頭に並ぶようになった。



具材に使用する味噌や野沢菜漬けも自家製にこだわったおやき



 餅菓子がメインだが、島田さんが独自に開発したそば茶みるくプリンは10年以上前からの大人気商品。また、味噌まんじゅうは人気が出すぎて他の商品が作れなくなってしまったという伝説が。今は店頭で販売はしていないが、注文があれば作ることは可能との事。

信州そば茶を生クリームとミルクで煮出した、なめらかプリン

そば茶ミルクプリン 160円(税込)



思い出に残る一升餅を


 子どもが1歳の誕生日を迎える時に、一生食べ物に困らないように願いをこめて背負う一升餅。お客さんからの要望で「いちご大福」でできた一升餅を作った。本来は一升(約2kg)の重さのお餅の塊だが、この時は2つの巨大いちご大福(中には大粒のいちごが10粒ほど!)を製作。思い出に残る変わった一升餅を、という要望に見事応えた。地元に密着したお店だからこそ、イレギュラーな相談にも乗ってもらえるのが嬉しいところだ。



須坂銘菓 一万石の物語


 一万石というお菓子ができたのは、今から50年以上前、須坂藩13代藩主・堀直虎公の没後100年祭の頃だった。直虎公は江戸幕府の若年寄兼外国総奉行など要職を務めた明君。その直虎公にちなんだお菓子を作ろうと、菓子組合の中で話が上がり、当時はまだ珍しかったブッセと杏のジャムを使ったお菓子を開発。市内の菓子屋5店舗ほどで製造販売をしていた。しかしながら、だんだん製造する店が減り、ついに最後の1店舗も店をたたむことに。このまま須坂の銘菓を無くしてはならないと、菓子屋仲間とともに一万石の講習会を開いてもらった。一万石のブッセは膨張剤を一切使用せず、卵の力だけで膨らませる難しい製法だ。でもこれこそが表面さっくり、中はふんわりとした食感を生み出す秘密。難しいが、皆の思い出の中にある一万石と違ってしまっては、お客さんをがっかりさせてしまう。2015年から一万石を引き継ぎ、今も元のレシピを忠実に守り続けている。

製法もパッケージも引き継いだ当時のまま

信州須坂藩一万石Ⓡ 145円(税込)



伝統と新しい取り組みと


 創業当時から作り続けているお菓子は製法も材料も一切変えず、伝統を忠実に守っている。どんなに人気があっても、季節限定商品はその時期にしか作らない。季節がめぐるたびに、「おいしかった思い出」を届けるのが信条だ。一方、新しいお菓子の開発にも余念がない島田さん。作っていて楽しいもの、自分が食べたいものしか作らないよ、と笑顔で語ってくれた。

 また、2020年1月、店の近くにあるビルの3階にレンタルスペースの「なにここすざか」をオープンした。ミシンや裁縫道具が備えられている。利用料は1人1日400円(利用は2人から)嬉しいお菓子付き。これからもずっと思い出に残るお菓子を作り続けてください!

レンタルスペースとして開放している「なにここすざか」お問合せ・ご予約はなにここすざかFacebookより



コモリ餅店

住所  長野県須坂市北横町1316-11/TEL 026-245-0528

OPEN  9:00〜17:00/定休日 水曜(不定休あり)

Web  http://komorimochiten.com/ 

Instagram https://www.instagram.com/komorimochiten_official/?hl=ja

なにここすざかFacebook https://www.facebook.com/7255suzaka

※掲載内容は2021年4月9日現在の情報です。表示価格・内容は予告なく変更になる場合がございます。