「完熟」にこだわって90年 本物のはちみつの魅力をお届けしたい!

須坂のすごい技術を持つ方を勝手に「Suzaka Meister」と命名。

今回は 鈴木養蜂場の鈴木健太郎さん。

黄金色のはちみつ

1匹のミツバチが一生かけて集められるはちみつはティースプーン1杯ほど

三代目の鈴木健太郎さん



ミツバチと共に婿入りしてきた


鈴木さんの祖父である袈裟美さんが、趣味で飼っていた蜂と一緒に婿入りしたのが始まり。元々は文具店を営んでいたが、1923(大正12)年、養蜂を始めた。西洋ミツバチはキリスト教の伝来と共に日本に持ち込まれたと言われているが、現在のような採蜜方法が日本で行われ始めたのは明治時代に入ってからだという。そのため、鈴木養蜂場は全国的にも早い段階で養蜂に取り組んできたといえる。鈴木さんは当初サラリーマンをやっていたが、30代に差し掛かってから家業を手伝うように。「小さい頃から養蜂を見てきたので、どこかでやらなきゃいけないな、とは思っていました。」使命感なんて無かった、と言いながらも、先代からの技術をしっかり守りつつ、養蜂の次世代を見据えた取組みをしている。


一番左にいるのが初代の袈裟美さん



美味しいはちみつの秘密


はちみつの製造方法には2種類ある。熱を加えて水分を飛ばす「濃縮」と、巣の中で蜂が羽ばたいて水分を飛ばし、糖度が78度前後になって巣房に蜜蓋がついたら採蜜する「完熟」だ。糖度の低い状態で蜜を採取し、加熱して濃縮する方が採蜜サイクルが短くすむためコストを抑えられるが、本来の風味が変わってしまったり、色も濃くなってしまう。また、はちみつにはビタミンやミネラル、アミノ酸、酵素、ポリフェノールなど150種類以上の体に有用な成分が含まれているが、熱に弱い成分は加熱によって失われてしまう。一方「完熟」は非加熱。おいしくて健康に良い本物のはちみつを届けるために、鈴木養蜂場のはちみつは全て「完熟蜜」だ。

蜜蓋がしっかりついた巣房の中には完熟蜜がたっぷり



近年、国内のはちみつは蜜源不足やミツバチ不足、天候不順などにより価格が高騰している。そのため、蜜源が豊富な中国産のはちみつを輸入して国内で濾過・瓶詰めする取り組みを40年ほど前から行っているそうだ。元々中国産はちみつは濃縮する文化であるが、鈴木養蜂場の提携養蜂家では国内製造と同様、完熟させて採蜜しているので国産はちみつと同じレベルの味・香りを実現している。食品で中国産というと安全性に不安を感じる方も多いが、はちみつを「原材料」としてバルクで輸入すると瓶詰めされた商品と比較して製品のチェックが厳しい(栄養成分や残留農薬など)ため、あえて現地で瓶詰めしないのだとか。

鈴木養蜂場の1年



女王もつらいよ 驚きの蜂の生態


1つの群れはたった1匹の女王蜂と約3万匹の働き蜂で構成され、女王蜂は群れの頂点に君臨しひたすら産卵、働き蜂は蜜を集めたり幼虫の世話をするのはよく知られた話。では、女王蜂はどのように生まれるのか?

実は女王蜂か働き蜂になるかは後天的に決まり、卵の状態ではどちらも変わらない。王台と呼ばれる、次期女王蜂を育てる部屋に卵を産みつけられ、ローヤルゼリーを継続して与えられたものが女王蜂になる。ローヤルゼリーは若い蜂の成虫が吐き出すエキスだ。女王蜂は1日に2〜3千個も産卵する。これは人間に換算すると1日に4〜5人産んでいる事になる。何とパワフルなこと!ちなみに働き蜂は全てメスで、日齢によって仕事が変わる。オス蜂は繁殖のためにしか存在せず、交尾したらすぐ死んでしまうし、交尾できなくても働かないので巣から追い出され、自分で餌をとることができずにいずれ死んでしまう。何だかオス蜂が気の毒になってくるが、皆自分の役割を全うしようと懸命に生きているのだ。

女王蜂が住む「王台」 生ローヤルゼリーは舐めてみると強烈に酸っぱい!


休耕田を蜜源に 花から育てる養蜂


国内の蜜源(蜜を集める元になる花)の減少は深刻だ。そこで、鈴木さんは2015年より須坂市井上で約30アールの休耕田を活用してレンゲ畑にするプロジェクトを始めた。1年目はまく種の量が少なかったのか、雑草に負けてレンゲはほとんど開花せず。。2年目は田おこしの回数や種を変えるなど改善し、はちみつを採ることに成功!以後、採蜜量も倍倍で増えているとのこと。須坂の他、高山や小布施でも休耕地や休耕田を蜜源にする計画があるのだとか。通常は花のある場所へ出かけて行って蜜を集めるが、花から育てている養蜂家は珍しいそう。


最後にこの仕事の面白さを聞いてみたところ、農家さんをはじめ、製薬・医療・建設など色々な業種の方と知り合えるのが面白いとのこと。食用以外にも様々な分野で可能性が注目されており、今後が楽しみだ。

須坂市井上の休耕田を活用したレンゲ畑

採蜜量は順調に増えている

左上から時計回りに

◎あのシャリシャリ感がたまらない サクマ はちみつりんごみるく(270円)◎香り豊かでフルーティーな甘み 信州須坂蔵の町林檎はちみつ(450g 3,300円)◎コクのある甘みにほのかな渋味 小布施産くり蜂蜜(250g 1,782円)◎須坂のりんご蜜・小布施のくり蜜・高山/飯山のそば蜜の食べ比べセット 信州プレミアム蜂蜜3本セット(各160g 2,800円)◎手作りハンドクリームやキャンドルに 蜜蝋(350円)◎休耕田で花から育てたれんげの蜜 信州須坂のれんげ蜂蜜(160g 1,318円)

※価格は2019年12月10日の情報です。表示価格は全て税込です。


有限会社 鈴木養蜂場 はちみつ家

住所   長野県須坂市中町222-3 / TEL 026-245-0379

OPEN  9〜18時半(冬季は18時まで) / 定休日 日曜

HP・ONLINE SHOP https://www.suzuki83.com

<直営店以外の取扱い店舗>

◎蔵のまち観光交流センター/長野県須坂市大字須坂352-2

◎信州・須坂温泉 古城荘/長野県須坂市日滝5414

◎湯っ蔵んど/長野県須坂市仁礼7

◎仙仁温泉 岩の湯/長野県須坂市仁礼3159